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2022年12月29日 (木)

カルボシステイン

 めったに風邪などひかないのだけれど、なぜかこの年末にどこからかもらってきて近所の医院にお世話になった。今回の主症状はほぼ咳と発熱だけで、処方されたのはトランサミン(トラネキサム酸)、カルボシステイン、コルドリン(クロフェダノール塩酸塩)の3種。薬は好きなので例によって調剤薬局の説明書きを熟読する。

 なかでもカルボシステインだ。聞いたことあるようなないような、前に処方されたことあったかな。わけのわからない名前の多い医薬品には珍しくストレートに化学的なネーミングなので好感が持てる。カルボシステインじゃなくてカルボキシシステインじゃないのかなと見当をつけてちょっとネットで検索してみたら惜しかった。S-カルボキシメチルシステインだった。それを舌足らずに短縮したのか。

 それにしてもこんな単純なものが何に効くのだろう。気になる効能は、痰を切れやすくするとのこと。なんで?そのメカニズムはとさらに調べると、気道粘膜で生成される痰の主成分であるムチンには粘性の低いシアル酸ムチンと高いフコムチンがあって、そのうちのフコムチンの割合を下げ、痰をさらさらにして排出しやすくする効果があるとのこと。なるほど、で、なんでそうなるの?その先のメカニズムはとさらにさらに調べたが、一般的な日本語検索ページでは残念ながら何も出てこない。

 なんでこんな単純な化合物がムチンの糖鎖構造の変化にかかわっているのだろうか。それが知りたい。リモートアクセス権で大学の文献データベースに入り込むことはできるがそこまでしてという気もするな。しかたがないので英語ページで検索し直してみると、DRUGBANK onlineの記事がヒットした(ちなみにcarbocysteineではなくcarbocisteineなのだった、なんで?)。その作用機構の項目に、細胞内シアリル転移酵素の活性を刺激することによりシアル酸ムチンとフコムチンの平衡を回復させるとあった。なるほどね。シアル酸転移酵素の活性増大が作用点なのか。ごていねいに引用文献もあったが、ひとまずその先は辞退しておく。きちんと納得しないと薬を飲んでも効いた気がしないのは因果な性分だと思うがしかたがない。

 

221229 
カルボシステイン(Wikipediaより)

 

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