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2022年12月24日 (土)

思い込み

 こういうこともあるんだな、しかしびっくりした。当事者はさぞかし驚いたことだろう。12月22日に行われた将棋の順位戦B級1組10回戦の近藤誠也七段-千田翔太七段の対局で、対局開始直後に後手番の千田七段が1手目を指して、反則負けになった

 順位戦の場合、対戦相手と手番はあらかじめ決まっていて事前に通知されているのだが、本人がてっきり先手番と思い込んでいて、そのための準備も周到に行ってきたための間違いだという。対局開始時に記録係が「〇〇先生の先手番でお願いします」と声をかけるのだが、集中していてそれすら聞こえなかったようだ。げに思い込みはおそろしい。周りが見えなくなるという好例になってしまった。

 人間のやることだから間違いもある。さすが松本博文さんの記事には先例が載っていて、「2007年7月のC級2組2回戦▲東和男七段(現八段)-△有吉道夫九段戦では、後手の有吉九段が1手目に3筋の歩を突いてしまい、やはり反則負けとなっています。」、とか「また2007年4月の倉敷藤花戦2回戦▲甲斐智美女流二段(現五段)-△関根紀代子女流四段(現六段)戦。振り駒をして甲斐女流二段先手と決まったあとで、やはり後手の関根女流四段が1手目を指してしまったという例もあります。」ということだ。

 大事な大事な順位戦の一局で、しかも同年代の好敵手近藤七段との一戦であり、相当気合を入れて臨んだであろう千田七段には痛恨事だろう。心中察するに余りある。先例があったからといって何の慰めにもならないだろうが、これに気落ちせずに来る年は一層の奮起を期待したい。

 

221224 
盤面の84歩が痛々しい(朝日新聞DIGITALより)

 

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