巨大岩塊
2030年度開業を目指して建設中の北海道新幹線新函館北斗~札幌間の工事について、当初予想より工事が大幅に遅れていることと、事業費が6450億円増加する見通しだとのニュース。元ネタは「北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)の整備に関する有識者会議の令和4年報告書(2022.12.7)」で、全文と参考資料は国土交通省の鉄道ページからDLして読める。
事業費の増加というのはいつのときも起こることで、もちろん資材価格の高騰とか経済情勢の変化があるだろうが、もともとの見通しの甘さが主因だろう。どうしても着工前には早期着工・完成という政治的思惑が働いて、費用算出は低めに抑えるのが常だからこういうことになる。あとになって増加分をどう負担するかでもめるのも、まあ三文芝居みたいなものだ。おそらく落としどころは決まっているのだろう。
工事の遅れについては、工事区間の大部分をしめるトンネル工事について、残土処理問題が受入れ予定地の反対等で大幅に遅れたことと、一部区間で工事を支障する地盤や岩盤問題が出来したためということだ。このうち札樽トンネルの重金属含有土の処置については、当然予想されていたことであり、事前の対策が不十分というか単に問題先送りによるしわ寄せだから、今さら問題化するのは論外としかいいようがないが、地盤岩盤に関しては掘ってみるまでわからないトンネル工事の宿命みたいな部分なので、酌量の余地がある。
トンネル掘削技術は時代とともに進歩しているはずで、青函トンネルをはじめとする長大トンネル、山岳トンネルで予期せぬ事態に何度も遭遇して、その都度乗り切ってきた経験があるだろうに、それでもまだまだこういうことがある。個人的には、羊蹄トンネルで想定を超える巨大岩塊に遭遇してシールドマシンがストップし、その岩塊を除去するために迂回工事トンネルを別途掘って、反対側から崩す方策をとるというのに驚いた。資料には模式図しかないのでどれだけすごい岩塊なのか想像するしかないが、トンネル工事というのはほんとに大変なものなのだなと改めて思う。
いずれにせよ2030年にオリンピックがあると決まったわけじゃなし、開業が少しくらい遅れてもどうってことはなかろう。北陸新幹線金沢~敦賀みたいに直近になって1年遅れというのはさすがに地域経済等への影響が大きいだろうが、こっちはまだ8年後の話だし。なにより安全確実に工事を進めてほしいと思う。
「鉄道」カテゴリの記事
- 南小樽駅(2024.07.07)
- 小樽築港駅(2024.06.21)
- 朝里駅(2024.06.02)
- 銭函駅(2024.05.17)
- 新幹線函館駅乗入れ計画(2024.04.02)
コメント