Shikoku Japan 88 Route Guide
3月になった、お遍路の季節だ、というわけで英語版遍路ガイドブックの紹介。これがなかなかのすぐれものなのだ。つい最近2023年版(第8版)が出たのを入手した。この英語版の地図、へんろ道保存会保存協力会で扱っているのは以前から知っていたのだが、実は手に取ってみるのは初めてだ。歩き遍路必携の保存会の地図編(黄色いB5判の冊子)の話は前に書いたが、同じ保存会から売られているし、それの英訳版なのだろうと思っていたら、全然別物だったのでびっくり。たしかに他の方のブログ記事などで、英語版には日本語版に載っていないへんろ道が載っていたりする話はきいていたが、地図図版そのものからまるで違う。
そもそも発行所が地図出版の老舗武揚堂で、著者にへんろ道保存協力会宮崎建樹となっているので、保存会の日本語版地図情報を使用して武揚堂が作ったガイドブックということなのだろう。地図会社の本なので、収載されている地図はすべて上が北で(当たり前だが)、縮尺もほぼ30000分の1か60000分の1に統一されている。日本語版がページごとに縮尺がまちまちで、歩く順路を優先させているので方位も地図ごとにめちゃくちゃなのと好対照だ。
情報は日本語版を踏襲しているので不足はないし、地図は見やすいし、外国人向けにこれ一冊で四国88ヶ所遍路の情報が得られるように、四国遍路や各札所の解説や持ち物、作法などの説明もついているので、解説編と分冊になっている日本語版より充実しているともいえる。しかも安い。英語版なので当然地名などはローマ字表記で読みにくいが、要所には日本語注記も併記されているし、これなら日本人向けにも日本語版よりこちらで用が足りるのではという気にもなる。
しかし、いい点ばかりではないのが世の常で、欠点もある。まず判型が小さい。日本語版がB5なのに対しこちらはB6判と半分だ。ハンディで持ち歩くにはいいのだが、1ページの表示範囲が小さいのはやはり痛い。ページが変わるとそこで道が途切れるのでつなぎ目では行ったり来たりして見にくい。そのうえ、ページ内の地図面に札所の説明とかバスの時間とかが囲み記事で挿入されているので、ただでさえ狭い地図が削られていて見にくくなっている。情報をコンパクトに詰め込んでいるせいで、肝心の地図が相対的に目立たなくなってしまうのだ。全体のページ数との兼ね合いもあるのだろうが、レイアウトには一考の余地があると思う。
とはいうものの、一般の地図・地形図を読みなれている人には、肝心の地図の体裁は絶対こちらの方が見やすいとは思う。歩き遍路を計画されている方は、ぜひ一読をおすすめしたい。ついでながら、本書の追加情報等についてはぢぢいさんのブログも必読だ。
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