初手14の8
タイトルをみて、あああれかと思った人は同好の士だろう。いささか旧聞に属するが、8月20日に放映になったNHK杯囲碁トーナメントの大西竜平七段対林漢傑八段戦。ビデオ録画しておいたものの、先週の札幌は猛暑日3日という連日の暑さで、とても暑い部屋で録画を観る気がしなかったので、延び延びになっていて昨日やっと見た。そしてびっくりというわけだ。
衝撃の初手が打たれて一瞬おいて、司会の星合三段「これは何という位置でしょうね」、解説のレドモンド九段「いや名前はないですね」というとぼけた掛け合い。辻二段の棋譜読み上げの声もずいぶん遅れていた。必死でマス目を数えていたに違いない。初手天元は見たことあるし、大高目だの五の五だのも過去にはあった。しかしこの中途半端な位置はなんだ。局後のインタビューで大西七段は、あまり考えて打ったわけではないと言っていたが、たしかに考えて打てる手ではないだろう。二手目に林八段が気合で16の8にかかったので局所戦がはじまるかと思いきや、数手打ったあとは空き隅に着手して普通の進行になっていった。結果は大西七段の二目半勝ちだったが、初手の効果はどれくらいあったのだろう。
初手に奇抜な手を打ったからといって変わった碁になるわけでもないのなら、結局どこに打ってもそう違いはないのではないか。極端に隅や辺に偏っていなければどこに打っても一手の価値はあるのかもしれない。将棋でも、初手に端歩を突いたり金を上がったりする人がたまにいるが、盤が狭くて駒の配置が決まっているので、大したバリエーションはない。それに比べて碁の自由気ままさといったら、まさに変幻無比で奥が深い。奇抜な初手に対する応じ方もいろいろ考えられるし、それらの組み合わせは膨大だ。どう打っても一局となると人智の及ぶところではない。AIがもっと進化したら答えが出るのだろうか。
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