快速「エアポート」増発の光と陰
数日前に北海道新聞に載っていたJR北海道の来春のダイヤ改正の内容。他メディアの追随がなかったので独自取材のようだったが、本日JRから正式にニュースリリースが出た。要点は2つで、一部の特急の全車指定席化と快速エアポートの増発・停車駅変更。特急の指定席化もほほうと思ったが、それより驚いたのはエアポートの変革だ(改正とはいわない)。
添付図をみると一目瞭然だが、データイム(9-16時)は1時間6本体制になり、そのうち1本は特別快速で新札幌・南千歳のみ停車、3本が従来通りの新札幌・北広島・恵庭・千歳・南千歳停車(一部小樽直通)、残る2本が新設の区間快速で、新札幌と北広島~南千歳間各駅停車、となる。それにともなってこれまで毎時2本あった札幌~千歳間直通の各駅停車が北広島で分断され、札幌~北広島は折り返し運転、北広島~千歳は区間快速がそれの代替となる形だ。
エアポート利用者にとって、現行の毎時5本はパターン化されていても時刻が覚えにくいのに対し、毎時6本だと10分おきなのではるかにわかりやすい。利用の大半を占める札幌~新千歳空港直通客にとっては、単に増発してわかりやすくなったので歓迎されるだろう。しかし、特別快速の停まらない新札幌以外の快速停車駅(北広島、恵庭、千歳)利用者にとっては、これまで同様毎時5本しか利用できないので、増発の恩恵を受けられない。それどころかパターンが1本飛ぶ部分では20分待ちになり、区間快速が毎時2本はいるのでそこでは所要時間が延びるというマイナス点もある。
北広島~千歳間のこれまでエアポートが停まらなかった各駅利用者は、毎時2本の区間快速ができるので、新千歳空港に乗り換えなしで行けるし、札幌へも北広島での快速乗り継ぎがいらなくなるので、利便性は大きく向上する。しかし、各駅停車が北広島で分断されるので、快速非停車駅への移動には乗り換えが生じて不便になる。たとえば、白石~恵庭や苗穂~島松などはこれまで各駅停車が直通していたのに、必ず北広島で乗り換えしなくてはならない。
というように、エアポート増発という表看板の裏側にはいろいろと問題もあるように思う。増発という言葉だけみると列車本数が増えるように錯覚するが、北広島~千歳間ではこれまで毎時快速5本・普通2本の計7本あったのが、快速(特別・区間含む)6本に減っていて、しかも利用可能列車は7本から5本に減ってしまっている。細かいことをいえば、北広島~千歳間の各駅停車→区間快速の変化では、編成両数が3両から6両固定に倍増するというメリットもあるし、総輸送力の減少は抑えられてはいるのだろうが。
札幌~新千歳空港直通客にとっても、速達の特別快速が増えるといっても毎時1本だし、逆に毎時2本は所要時間の延びる区間快速になる。特別快速が遅い快速を追い抜くわけではないので選んで乗る意味はなく、そのときに来たのに乗るわけだから場合によっては遅くなるケースもあるだろう。
各駅停車の北広島分断は、新駅ができるまでのボールパークアクセス客対策をにらんで考えた末のことなのかもしれない。新駅ができたらできたでこのパターンをどうするか。区間快速を新駅にも停めて、他の快速は通過ということになるのだろうか。まだまだエアポートの変化からは目が離せないな。
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