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2023年11月16日 (木)

特急の全車指定席化

 JR北海道の来春ダイヤ改正概要、快速「エアポート」増発に続いては、一部特急の全車指定席化だ(→ニュースリリース)。「北斗」・「すずらん」・「おおぞら」・「とかち」の全列車が全車指定席となる。また、「ライラック」・「カムイ」については自由席車を2両に減車する。

 特急列車の全車指定席化は、JR他社でもやっていて全国的な流れなので、そのこと自体にそれほど驚きはない。ただ、ぼくのような年寄りには、昔に戻るのかと感慨深い思いがある。特急は昔はまさに特別急行であって、自由席主体の急行列車に対して、全車指定席が普通であり、それがステイタスだった。もちろんほとんどの列車に食堂車が連結されていた。それが、いつのまにか自由席車を連結するようになり、エル特急などという下駄ばき特急が登場して大衆化され、ちっとも特別な列車ではなくなってしまって久しい。

 新幹線でも全車指定席でスタートした「のぞみ」にすら自由席が連結されるようになったし、それが時代の流れであったのだが、ここへきてそれがじわじわと変わりつつある。その「のぞみ」がこの年末年始から繁忙期は全車指定席に変更になるし、JR東やJR西の特急も指定席化が進んでいる。そういえば北海道新幹線「はやぶさ」も全車指定席だ。あらかじめ乗る列車を指定しなければならない不便よりも、並ばなくても着席できる方が好まれることや、窓口に出向かなくてもスマホで手軽に予約できるようなシステムになったことが要因だろうか。

 なので指定席化の流れは理解できるけれど、個々の列車をみると意外なこともある。「北斗」はいいとして、「すずらん」まで全車指定席にするのは思い切ったな。短区間利用者や定期(かよエール)利用者には不便だろうと思うが、同一区間を走る列車に自由席があるのとないのとが併存するのを嫌ったのかもしれない。そう理解すれば、「おおぞら」に加えて「とかち」を全車指定席化することも腑に落ちる。こうして札幌から千歳線方面はすべて指定席列車になる。

 同様の理屈で、「ライラック」・「カムイ」の全指定席化が見送られたのは、同区間を走る「宗谷」・「オホーツク」に自由席が残ることと整合性をとったと考えられる。極端に普通列車の少ない区間のある宗谷線、石北線では、特急が普通列車代替機能も負っているので、これらの列車までは全指定席化しにくいのだろう。やるとすれば、全列車札幌~旭川は指定席にして、旭川以遠のみを一部自由席化するという方法もあるし、あるいは「はやぶさ」のように末端区間のみ空席利用の特定特急券を発売することもできそうだが。

 これまでは自由席利用がふつうだった「ライラック」・「カムイ」も、今後自由席車が減車になって時間によっては着席しずらくなれば、指定席化の要望が増えて、いずれはこれら函館線下り方面列車も全車指定席になるかもしれない。競争相手の高速バスは座席指定があたりまえなのだから、駆け込んでも必ず座れるというニーズは大きいだろうし。前エントリの「エアポート」に加えて、こちらも今後の推移に注目だな。

 

231116 
特急編成の変化(JR北海道ニュースリリースより) 

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