地震の余波
年明け早々に起きた令和6年能登半島地震から3週間がたった。ニュースでは今も被害地域の様子が報道され続けている。多くの地域でいまだに道路の寸断、停電、断水が続き、多くの被災住民が避難生活を余儀なくされていて、生活再建などいつのことやらという状況には胸が痛む。といってぼくなんぞに直接何ができるわけでもないので、せめてもと義援金を送らせてもらった。
それはともかく、今回の地震の大きな特徴として大規模な地殻変動があげられる。輪島市、珠洲市では数メートルもの水平移動および隆起が観測されて、能登半島北部では隆起によって90 kmに及ぶ海岸線の後退がみられるそうだ。地図を書き換えなければならないほどの変動だ。そうなると気になるのが、地域測量の基準となる三角点などの基準点の扱いだ。国土地理院webページの基準点成果等閲覧サービスをみてみると、案の定広範囲にわたって三角点・水準点などの成果公表が停止されていた。その範囲は群馬・新潟・富山・石川・長野の5県にわたり、三角点だけでも4332点にものぼる。地図でみると、震央から東側の範囲に広がっていて、石川県南部のように震源から近くても公表停止になっていないところもある。地震による地殻変動には偏りがあるということなのだろう。
三角点フリークのぼくとしては、いったいこれどうするのだろうと心配になるが、国土地理院の発表資料に今後のフローチャートが載っていて、それによると概略は次のようになっている。
基本測量成果の公表停止(電子基準点、三角点・水準点) ←いまここ
↓
電子基準点成果の改定
↓
三角点・水準点改測作業の実施
↓
三角点、水準点及び電子基準点の成果改定・公表
まずは電子基準点の成果を改定して、その後一般の三角点の改測作業が実施されるわけだ。電子基準点は衛星による測位を利用するので問題はないだろうが、それ以外の三角点についてはわざわざ現地に赴いて改測作業をするのだろうか。数ある三角点の中にはもちろん現在でも利用されているものもあるのだろうが、深山幽谷にあるようなところは明治・大正時代から点の記が更新されていないものもたくさんある。総計4000点以上となると膨大な作業量だろうし、とうてい現実的とは思えないが。
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