明日萌・悲別・幌舞
JR留萌本線石狩沼田・留萌間が廃止になって1週間。廃止区間にある留萌本線の駅のうち、恵比島駅横に設置されていたテレビドラマのロケ用の明日萌駅舎が、廃線後も観光スポットとして残るといううわさを耳にした。元々鉄道の営業とは何の関係もない建物だから、路線が廃線になったといっても、そもそも鉄道利用で訪れる人などほとんどいなかっただろうし、地元としては数少ない集客が見込めるランドマークだから残したいのだろう。
しかし、こんなではいまにここが恵比島駅という歴史ある駅(1910年開駅)だったことなど忘れられて、明日萌駅というエセ名前が一人歩きするようになってしまいそうだ。鉄道の駅はドラマや映画のためにあるのではないのに、本業の鉄道が斜陽化して知名度を失っていくにつれ、大々的に宣伝されたニセ物の方が有名になり、主客転倒してしまう。まさに、庇を貸して母屋を取られるそのものだ。嘆かわしいことだと思う。
北海道には明日萌駅(←留萌本線恵比島駅)ばかりでなく、他にも悲別駅(←函館本線支線上砂川駅)、幌舞駅(←根室本線幾寅駅)などの悪例がある。悲別なんて名前がまたひどすぎる。日本全国でこんな例はあるのだろうか。恵比島駅が今回廃止になり、上砂川駅はとっくの昔に廃止されているし、幾寅駅も来年3月末での廃止が決まった。廃止と映画・テレビロケとは関係ないだろうが、ニセ物の看板の方が有名になるくらいなら、いっそ廃止になったほうがよかった気がするか。